佐藤卓ディレクション water展に見る「アイディア×技術」の威力
連休最終日、「water展」に行ってきた。
http://www.2121designsight.jp/schedule/program.html
展示自体も最終日…ということで、比較的混んでいた。
なかでもtakramの「ふるまい」の列には、思わず「ここなんてネズミーランド?」と言いたくなるほど(笑)
今回の展示で「面白い!」と感じたのは、3つ。
- 原研哉の「鹿威し」
- takramの「ふるまい」
- 竹村真一、川崎義博の「aqua space」
この3つに共通してるのは、アイディアと最新技術を掛け合わせた作品である点。
「鹿威し」と「ふるまい」は超撥水処理というナノテクを用いた素材を使って、巧く「水」の動きを表現している。
また「aqua space」は、壁に取り付けられた聴診器(というよりは、受話器*1)を耳に当てると、東大キャンパスやインドなどの遠隔地の水音がリアルタイム*2で聞こえてくる。
これらの作品は、ナノテク、インターネットなどの技術がなければ生まれなかった作品だ。
water展に限らず、先月見に行った六本木クロッシングでも感じたことだが、最近のアーティストは技術を使うのが巧い。
従来の芸術のように、線一本、色の使い方ひとつで感動させる…というのも確かに重要だし、本質は変わらないのだが、「アイディア×技術」のハイブリッドで生まれる芸術は、ものすごいパワーを持っている。
芸術に限らず、広告にも同じ流れが出てきていると思う。
昨年のカンヌ広告祭のアウトドア部門で金賞を受賞したX BOX360のゲームソフト「ブルードラゴン」のキャンペーン、「Big Shadow」がまさにその典型だろう。
渋谷文化村通りの駐車場で影を映すと、隣接するビルの壁面に映った人影が動いたり、巨大なドラゴンに変身する…という「主人公の影がドラゴンとして発動する」というゲームの設定を生かし、「影」を利用して行われた巨大インスタレーション・キャンペーン。
リアルの参加者(影を投影させている本人)だけでなく、渋谷の街でインスタレーションを見たひと、さらにはweb上でインスタレーションを操作する参加者など、多くの消費者を巻き込み、楽しませ、大きな話題を呼んだ。
リアル×webのインタラクティブなアイディアを設計したプランナーも素晴らしいが、何より評価されるべきは、このアイディアを実現させた技術開発・運用チームであろう。
アイディアに偏り過ぎてもダメ。技術に偏りすぎてもダメ。
その2つの最大公約数がはじき出されたとき、初めて心に響くクリエイティブが生まれるのだと思う。
少し論点がズレるが、「技術」という意味では、Panasonicオキシライド電池のCMも好きだ。
http://www.youtube.com/watch?v=riXwm5VHlOo&feature=related
「乾電池だけで有人飛行」という、ローテクなんだかハイテクなんだか分からないチャレンジなのだが、でもフィルムに映る学生の顔と、滑らかに飛ぶ飛行機を見ると、なんか思わず…泣ける。*3
water展の帰り、コピージアムに立ち寄ったら、たまたまスクリーンに流れていて…また泣いた(笑)
パブ効果もバイラル効果も高かったし、素直に感動できる、良い広告だと思う。