SONY "branco" ブロガーミーティングに行ってきた(今更w)

去る去る4月3日、AMN主催の"SONY branco ブロガーミーティング"に参加した。
だいぶ旬を過ぎたというか今更すぎる感はあるものの、やはりブロガーミーティングに参加した以上はエントリを上げるべきだと考えているので、今更だけどエントリアップしてみる。

brancoとは?

brancoは「デスクトップに貼るテレビ」というコンセプトの国内初の無料IPTV。
ソフトをインストールして、デスクトップのアイコンをクリックするだけで、簡単にIPTVが見れちゃう!というもの。

国内、海外ドラマ、アニメ、音楽(邦/洋)、バラエティなど計6チャンネルを24時間配信しており、Discavary ChannelやらガンダムやらをDVDクラスの高画質で無料視聴できる。
ビジネスモデルは、現状は広告収入がメイン。配信番組間に動画広告が入るのだが、広告配信のシステムとして、PPoS(Personalization Program over Streaming)という独自のシステムを導入。プログラム配信中であっても一部動画CMを視聴者毎に差し替えることが可能…つまり、そのときどきで個々のユーザーに最適な動画広告をアドサーバーから吐き出すことが可能だそうだ。

ちなみに、SONY

  • 楽しい、便利なメディア
  • より楽しくハードウェアを使うためのサービス
  • 次世代クリエイター育成のプラットフォーム

としてbrancoを育てていくとのこと。

実際使ってみて…

まず、評価できる点。

  • 高画質
    • ほんとうにDVDクラス。ブレもなく、ストレスなく見れて◎
  • インターフェースが格好良い
    • SONYっぽい、クールなデザイン。アイコンも分かりやすくて良い。ただ、黒基調のデザインでカスタマイズは一切できないので、女性ユーザーには少し物足りないかもなぁ…という気もする。デスクトップガジェットのような位置づけで攻めるならば、やはりカラバリ程度でいいのでカスタマイズ機能は欲しいところ。
  • PC×テレビの一元化
    • わざわざテレビをつけなくても、PCでマルチウィンドウでテレビが見れる(ブラウザでなくアプリで)のは結構好感触。


さて、上記の通りそれなりに良いところはあるのだが、ぶっちゃけ少し体験した程度では「別にテレビつければ良くね?」「別にようつべで良くね?」と感じてしまったというのが正直な感想。サービスインしたてなので仕方がない部分があるのは承知だが、UI面、コンテンツ面にまだまだ課題が山積みのように思われる。ので、私が個人的に感じた課題を下に列挙してみる。

  • NTTフレッツ光ユーザーしか使えない。
    • NTTのIPマルチキャスト網を使っているから…とはいえ、最初のハードルが高すぎる!実際うちもフレッツじゃないしw
  • 予想以上に重い。
    • ソフトの立ち上げはともかく、チャンネル切り替えがサクサク動かないのはきつい。マルチタスクしたら死にそう。
  • web上の番組表からチャンネルの切り替えが出来ない
    • 利権回りの問題で出来ないらしい…が、CS放送の番組表→チャンネル切り替えの導線に慣れている身としてはストレスを感じざるを得ない。
  • チャット機能が中途半端
    • まず、enterボタンで投稿できない。わざわざ送信ボタンをクリックしなくちゃならないなんて、IMが一般化した世の中で通用するのだろうか…また、同時に会話できるのが15人まで*1、ログ取りなし、SNSとの連動もナシ、というのもフシギ。テレビとの差別化のためにチャット機能をつけたということだが、「とりあえず付けておけ」感が漂っていて、逆にユーザーが戸惑ってしまう気が…
  • 巻き戻し機能がない*2
    • いくら「デスクトップに貼るテレビ」とはいえ、今の時代15分くらい遡って見れるくらいの配慮がないと他のサービス・コンテンツに流れてしまうのでは?
  • チャンネルが少ない!
    • SONY側としては、「6-12チャンネルくらいじゃないと、ユーザーが選びきれず混乱する」と考えて6チャンネルにしているようだが、正直CSチャンネルやVODなどの膨大なチャンネルから自分の好きなコンテンツを選んでいる現在のユーザーに対して、6チャンネルしか与えないのは賭としか思えない。
    • 6チャンネルにするならするで、1チャンネルが持つコンテンツのひとつひとつが視聴率20%モノじゃないと、他のコンテンツ・サービスにすぐ逃げてしまうだろう。「選びきれない」というのなら、精度の高い検索&レコメンド機能でサポートしてあげればいいだけの話では?
    • また、「次世代クリエイター育成のプラットフォーム」を目指すなら、なおさら「枠」の充実を図るべきでは?

brancoが生み出すインパク

とまあ、色々と文句を連ねてみたものの、私個人としては、brancoというサービスが出たことには大きな意味があると考えている。
それは「テレビ」と「PC」とのハード(デバイス)側面での掛け合わせを試みた点にある。


テレビには、「メディア(ハード)」と「コンテンツ(ソフト)」の2つの文脈がある。
インターネットの普及により、テレビが危機に瀕しているとされている。ただ、それはコンテンツとしてのテレビではなく、メディアとしてのテレビの衰退の話であって、やはり動画コンテンツとしてのテレビ番組(地上波だろうがCSだろうが)の魅力はまだまだ衰えていない。そうでなければ、ニコ動が民放と手を繋ぐわけがない。

問題は、メディアとコンテンツの乖離にあるのだろう。それは放送網上でもインターネット上でも同じで、乖離したまま走っているからこそ、さまざまな齟齬やグレーな問題が浮き彫りになっているのではないだろうか。最終的に「テレビ」がどのようなカタチに収斂するのか、分からない。もしかすると、「テレビ」という記号を持つものは存在しなくなるかも知れない。

YouTubeであったりニコニコ動画といったサービスによって、テレビというコンテンツを取り巻く環境は急激に変化している。
では、テレビというメディアはこの状況にどう対応していくのだろうか?

brancoがひとつのソリューションとして、さらなる成長を遂げることに期待したい。

*1:16人目以降は、会話はできないが、閲覧はできる。ちなみに15人という制約は、システムへの配慮から。

*2:担当者によると、現在開発中…とのことなので、今後に期待。