動画共有・広告ビジネスを盛り上げるために必要なのは「ネットカムコーダー」と「動画作成支援ツール」

YouTubeを見ていて、海外ユーザーと国内(日本人)ユーザーのアップしている動画の傾向がちょっと異なることに気づいた。
ズバリ、「自分で撮った(作った)動画」か「他人が作った(コピーライト付き)動画」か、の違いだ。
これは、ニコ動を見ればと顕著に分かる。もちろん、自作コンテンツをアップしている国内ユーザーだってたくさんいる。ただ、どうしても著作権付き動画の方が目立つし、盛り上がっているように感じられる。


プロのコンテンツが面白いのは当たり前だ。だからこそ彼らは「プロ」であり、生計を立てていかれる。ここで問題なのは、「素人がスターになれる」というwebがもたらした恩恵を巧く活かしきれていないということである。
著作権付きコンテンツに素人が編集を重ねることで、強烈なコンテンツが生まれることは重々理解しているし、それもweb2.0の大きな波であり、非常に面白いことだと思っている。ただ現状は、ジェネラルなユーザーがみな気軽に自作コンテンツをアップして、共有して、楽しむ…というフェーズにはほど遠いのではないだろうか。


では、動画共有ビジネスおよび動画広告ビジネスが成長し、「みんな」のフェーズに突入するためには、何が必要なのだろうか?

私は、「手軽に撮れてサクッとネットに繋がるカムコーダー」と「カンタンな動画作成支援ツール」だと考えている。


動画共有ビジネス…というかWeb2.0サービスなんて、どれだけユーザーを増やして、主体的にコンテンツをアップさせられるの勝負だ。YouTubeだってニコ動だって、受動的なROMユーザー数はある程度確保しているわけだから、さらなる成長のためには、アクティブ率を上げてコンテンツ量を増やしていくしかない。

おそらく、今動画共有サービスにコンテンツをアップしている層は、プロないしはセミプロ、知識のあるアマチュアだろう。写真ならまだしも、動画コンテンツの場合、撮影や編集、エンコードにはそれなりの知識が必要だし、コンピュータのスペックやツールのハードルはまだまだ高いと「思われている」。実際には、今の時代、量販店で売られているコンピューターならスペックに問題もないし、ツールだってデフォルトでインストールされているし、フリーソフトだって山のようにあるのにもかかわらず。

だったら、動画作成・アップに対する物理的・心理的ボトルネックを解消するために、カンタンに素材(映像)が取れて、取り込めて、編集できて、アップできる世界を作ってあげればいいよね、という話。


まあ、こんなことは私なんぞが言わずとも、みなさま分かっていらっしゃるわけでw ニコ動とNTTレゾナントが、以下のようなプレスリリースを出していた。

 ニワンゴが運営する動画コミュニケーションサイト「ニコニコ動画」の公式動画制作ツール「ニコニコムービーメーカー」が3月5日に配布されることが決まった。ニコニコ動画内の「ニコニコニュース」で明らかにしたもの。

ニコニコ動画公式の動画制作ツール、3月5日登場へ--無償配布が決定 -CNET

NTTレゾナントは2月28日、実験サイト「gooラボ」において実証実験中の「携帯動画共有実験」(https://mobi.labs.goo.ne.jp/)に、NTTのサイバーソリューション研究所の技術を利用した新機能「テロップ動画テンプレート機能」および「自動ダイジェスト機能」を追加した。

goo、携帯動画共有実験サービスにテロップ付き動画を自動生成する機能を追加 -CNET

ケータイのヤツは、特に面白そう。今後も各動画共有サービス関連企業が、楽しくてカンタンな動画作成支援ツールをガツガツ作ってくれることを祈るばかりである。


ただひとつ留意したいのは、いくら動画作成支援ツールがあったとしても素材がなければ始まらないということ。

このあたりは家電メーカーが「手軽に撮れてサクッとネットに繋がるカムコーダー」*1を生み出してくれれば、まあ解決するだろう。

現在のカムコーダー主要用途は、イベント(子供の運動会、結婚式、旅行など)の記録であり、デジカメのように日常的に使われることはほぼない。デジカメやケータイカメラでランチを撮ることはあっても、カムコーダーで撮りはしない…ということだ。
ただし、以前はカメラだって記念撮影目的メインだったことを考えれば、日常的に映像を撮る時代が来たっておかしくない。だったら、次に目指すはそのフェーズなのではないだろうか?



「ふつうのひとびと」が日常的にカムコーダーを持ち歩いて、日々の記録撮って、そのままサクッとネットに上げたり、カンタンにコンピュータに取り込んで、編集して、アップできる世界が訪れれば、動画共有ビジネスもキャズム超えが可能だろう。そして新しい力を持つコミュニケーション・メディアとして確立され、広告ビジネスもさらに発展していくだろう。
個人的に、そういう世界は結構楽しくて幸せなんじゃないかと思っている。動画共有だけじゃなくて、Video blogとか、UstreamやSticamのようなライブストリーミングも、どんどん面白くなってくるだろうし。


そんなに動画広告盛り上げたい(※売りたい)なら、広告会社は家電メーカーやwebサービス会社と協働して、早くカムコーダーと動画作成支援ツールを作って物理的ボトルネックをハズし、さらにブランディングとプロモーションで心理的ボトルネックをハズすための努力をもっとした方がいいんじゃないか?というお話。
「それなんてユートピア?」って感じだろうけどw

*1:ケータイムービーでいいじゃん!とも思うが、やはり画質や容量のことを考えると、動画に関してはケータイでは満足できないユーザーの方が多いと思われ…