mixi規約改定事件で浮き彫りになった「一億総クリエイター時代」の抱える大問題

mixi、4月1日より利用規約を改定--日記などについて著作者人格権の行使を禁止 -CNET

発表当時、twitterの方で大騒ぎしたネタ。ブロゴスフィアの方でも大分落ち着いた感があるが、一応、今更言及してみる*1というテストw


別にmixiは勝手にユーザーのパーソナルな日記を勝手に出版して利益を上げるためにあのような規約改定をしたわけではないだろうし、単純に今後のサービス展開(マッシュアップ系)のためのリスクヘッジをしただけなのだろう。しかし、そこで4年前のlivedoor blogと同じ轍を踏んで自滅しているあたりは、もう「mixi(笑)」としか言いようがない…

このあたりの議論に関しては、以下のエントリを参照にしていただければと。私もだいたい同じ意見なので。

mixi新規約の件 -rickdom
mixiの利用規約改定に関する重要なお知らせについてひとこと言っておくか -*mohri++
著作者人格権:何が問題で、どう書くべきか? -絵文禄ことのは


さて、個人的に、今回の事件で注目すべきは、

  • 日記キーワードランキングで「規約改定」が1位だったこと
  • 多くのユーザーが「mixiで日記書くと著作権侵害されるから、やめようかなぁ」的な発言をしていたこと

この2点だと思っている。


これは、一般ユーザーまでもが「著作権」に対して過敏になっている、ということを示唆している。
コンテンツをプロとして制作しているわけでもなく、著作権料が生計の一部となっているわけでもない、ふつうの学生、フリーター、サラリーマン、主婦までが「自分の著作権」を意識し、権利を主張する時代になったのだ。

これは、インターネット普及による一億総クリエイター時代の恩恵であり、功罪であるのだろう。

個人的には、先日の動画共有・広告ビジネスを盛り上げるために必要なのは「ネットカムコーダー」と「動画作成支援ツール」でも述べたように、素人(一般ユーザー)がネット・メディアを通じて自分の作品を発表して、世界中のユーザーと共有し、正当な賞賛を受けることができる時代の到来には賛成だ。とてもしあわせな世界だと思う。
ただし、そこで「著作財産権」をむやみやたらに主張しはじめてしまうと、コラボレーションおよびイノベーションの可能性をつぶしてしまうことになりかねない。それは本当にもったいなさ過ぎる。


そもそも、今回の騒動で、mixi日記に「著作権侵害はんたーい!」なんてエントリを書いたユーザーの中で、そもそも著作権とは何なのか、むしろ著作者人格権が何なのか理解しているユーザーはどれくらいいるのだろう。おそらく、正しく理解しているユーザーはごく少数だろう。
だが、それはユーザーの問題ではなく、コンテンツ業界、むしろ法律界の問題だ。そもそも、著作権ってものそれ自体が曖昧で複雑なものである上に、過去のシステムに適するように作られた法律を、激変を遂げた現代のシステムにゴリ押しで当てはめて使っているのだから、そりゃ混乱だって生じるだろう…という話。しかも、まだまだ改革への道は遠そうだ。


もう少し、業界を、国を挙げて法整備および一貫した周知・啓蒙活動をすべきなんじゃないだろうか…

既に「著作権」は「みんな」のものになっていて*2、限られた一部のひとびとの問題ではなくなってしまっているのだから。

*1:twitterはリアルタイム性と手軽さ、議論のレスポンスの早さという意味では良いツールだけど、やはりログが流れてしまうので、まとめはブログで…というのが良い流れなのかも。

*2:もともと誰もが著作権を持っているのだが、コンテンツ関連で広く強く意識されるようになった、という意味で「みんな」という表現を使用。