ライフログ×ネット家電のもたらすミライ

NTTレゾナントiアプリ用サービス「キセキ」をリリースした。

NTTレゾナントは5月29日、携帯電話のGPS機能を利用して訪れた場所の「住所」と「時間」を自動的に記録し、その記録に対して日記を作成できるiアプリ用サービス「キセキ」を開始した。東京、神奈川、千葉、埼玉で利用できる。利用料金は無料。

ライフログサービス「キセキ」、訪れた場所の住所と時間を自動記録 −CNET

アプリをDLして待受アプリに設定すると、自動的にGPSデータが蓄積されていく。その行動データに対して「何をしたか」というコメントを追加することで、行動日記が完成。もちろん外部ブログへの投稿も可能。
まあ、ここまではなんてことのないGPS対応ブログないしはSNS(アテラとかあったね、そういえば…)となんら変わりはない。コメントだって、キセキ上で書かせるよりもmixitwitterなどの既存インフラと連携した方が確実に投稿率は上がるだろうし(ここらへんは「NTTっぽい」なぁ…と思ったりw)。
しかし、次の一説は結構すごい。

 また、ユーザーの行動に適した地域情報を配信する機能も備えている。自分の行動日記として情報を蓄積していくことにより、ユーザーの行動特性情報と現在地、時間に応じた飲食店などの情報を導き出し、リアルタイムで待受アプリ上に配信する。行動日記が蓄積されるほど、精度の高い情報を入手できるという。

実際の行動(位置情報)データでターゲティングして、強制的に「待受」に情報(きっとクーポン広告の類だろう)を配信…さすがNTTグループw 他のサービサーじゃ、待受に情報配信なんてやりたくてもなかなか出来ない。そもそも待受アプリへの壁が厚いし。いやはや恐れ入りまつた。


まあ、正直成功するか否かは微妙なところだと思う。GPS情報に対するユーザー(生活者)の姿勢はまだ懐疑的であり、相当なメリットがない限りはバンバン公開したりはしないのではないか?という仮説からの意見である。現実問題、GPS情報は犯罪の助長にもつながりかねない危険性を持っている。だからキャリアのGPS情報通知サービスには厳重なロックがかけられているし、GPS情報を利用したwebサービスでじゃ精度を荒くするなどの調整している。


そもそも、GPS情報をはじめとする「ライフログ」に対する寛容度が、日本という国は低いように感じる。国民性といってしまえばそれまでなのだが、結局のところ、集合知やらマスコラボレーションやらそういった動きが鈍いのも根本の問題は同じなのだろう。もったいないなぁ…と思う反面、私自身もそこまでダダ漏れではない(というより隠居気味)ので、そう強くも言えなかったりはするw*1hiniclipのトミモトさんUstreamで日常をダダ漏れさせているハイパーブロガー)なんか、ネ申の領域ものだw

ただ、ライフログは今後大きな力を擁するものだと思う。編集されない、リアルなダダ漏れメタデータの洪水。マネタイズの構造は置いておくとしても、マーケターとしては喉から手が出るほど欲しいデータのはずネットの行動ターゲティングとは異なるリアルな行動ターゲティングが可能になる上、生活者の潜在意識(無意識の行動データ)に触れられるのだから、インサイト発掘に多大な力を発することは想像に難くない。ただ、個人的にはビジネス的視点ではなしに、学問的視点(たとえば考現学のような領域など)だけから見ても重要なデータであり、公開するか否かは別として、記録・蓄積しておくべきデータだと感じている。単純に面白いし、100年後に価値を持つデータだ。


だからこそ今、ネット家電といわれる分野に期待している。テレビでもビデオでも炊飯器でも洗濯機でも冷蔵庫でも体重計でも、ネットにつながりさえすれば自動的にライフログを収集することが可能である。もっというなれば、ゲーム機だってそうだし、本棚だって、椅子だって、浴槽だってライフログ収集のハブになり得る。もちろん、収集ハブとしてだけでなく、メディア(媒体)としての力も大きい。要は、ネット家電などのユビキタス環境が整備されれば、生活者のパーソナルなライフログの収集・蓄積が可能となり、また彼らにとって適切な、メディアニュートラルなコミュニケーションが可能となるのだ。


まあ、上記のような「ユートピア(笑)」が出来るまでにどんだけ時間かかるんだYO!という至極もっともなツッコミがあるのは重々承知だが、全部はともかく一部はもう実現しつつあるし、家電業界自体にも「ネット対応」の流れはある(ライフログ発想主体ではないにしろ)わけで、あながち夢物語じゃないのではないかなぁ…と安穏と考えていたりする。

最初、生活者側の抵抗は強いかもしれない。でも、本当に彼らにとって有益で幸せなサービスを提供できるならば、彼らは喜んでデータを提供してくれるのではないだろうか?



まあ、そんな真面目な話は置いといて、なんかライフログ関連でエキサイティングなことができたらいいなぁ… ビジネスじゃなくて、全然良い。いまのところアートとか芸術方面の方が相性が良い状態だろうし。またライフスライスカメラとかやりたいなぁ…(ライフスライスキットが完パケだったため、コチラで代用していたw)
仕事の合間に妄想しよう。うん。そうしよう。

*1:まあ、以前実名でバリバリ情報発信していたときは、かなりのダダ漏れっぷりだったがw